遺言書の作成は、自身が亡くなった後に、財産や家族に対する意思を明確に伝えるための大切な手続きです。
遺言書がないと、相続は法律に基づいた「法定相続」により進みますが、遺言書があることで、特定の相続人や非相続人に財産を遺すことや、財産分配の方法を指定することができます。
しかし、遺言書には法的な要件や形式があり、正しく作成しないと無効となることがあります。そこで、遺言書作成をサポートする専門家に依頼することで、法的に有効な遺言書を確実に作成し、家族間のトラブルを防ぐことが可能です。
以下では、遺言書作成の重要性やサポート内容、遺言書の種類と特徴、サポートを受けるメリット、そして注意点について詳しく説明します。
このページの目次
1. 遺言書作成の重要性
遺言書を作成することで、財産分配や家族への遺志を明確にすることができます。特に、以下のようなケースでは遺言書を作成しておくことが非常に重要です。
特定の相続人に多くの財産を遺したい
法定相続分ではなく、特定の相続人に多くの財産を遺すことができます。
内縁の配偶者や特定の人物に財産を遺したい
法定相続人以外の人(内縁の妻、孫、友人など)に財産を遺すことが可能です。
事業承継のため、特定の子どもに会社の株式を相続させたい
事業を次世代に引き継ぐ場合、株式の相続を指定できます。
相続人間のトラブルを防ぎたい
遺言書があることで、遺産分割を巡る争いを未然に防ぐ
2. 遺言書の種類と特徴
遺言書にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や作成方法が異なります。適切な形式で作成することが、遺言書の有効性を保つために非常に重要です。
2.1 自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が自分で遺言書の全文、日付、署名を手書きして作成する遺言書です。作成費用がかからないため、最も簡単な方法ですが、法的な要件を満たさない場合に無効となるリスクがあります。
メリット
作成が手軽で費用がかからない。
デメリット
法的要件を満たさない場合、無効となる可能性がある。遺言者の死後、家庭裁判所での「検認手続き」が必要。
2.2 公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人が遺言者の口述を基に作成する遺言書です。公証役場で作成されるため、法的に強力な証拠力を持ちます。また、遺言書が公証役場に保管されるため、偽造や紛失の心配がありません。
メリット
法的に有効で、偽造・紛失のリスクがない。家庭裁判所での検認手続きが不要。
デメリット
作成に費用がかかり、証人が必要。
2.3 秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言書の内容を秘密にしたまま公証人に遺言の存在だけを証明してもらう形式の遺言書です。遺言内容を秘密にできる一方、検認手続きが必要です。
メリット
遺言内容を他人に知られずに作成できる。
デメリット
家庭裁判所での検認手続きが必要。法的要件を満たさない場合、無効となる可能性がある。
3. 遺言書作成サポートの内容
遺言書作成サポートは、専門家(司法書士や弁護士、公証人など)が法的に有効な遺言書を作成するために必要なサポートを提供します。主なサポート内容は次の通りです。
3.1 相談とプランニング
遺言書の作成前に、専門家が遺言者と相談を行い、財産状況や相続人に関する情報を基に、どのような形で遺言書を作成するかプランニングします。
財産の確認
不動産、預貯金、株式などの財産を正確に把握します。
相続人の確認
法定相続人や遺留分に注意しながら、相続人の確認を行います。
遺産分配の意向確認
遺言者の意向に基づき、財産分配や特定の相続人への遺贈を計画します。
3.2 遺言書の作成支援
遺言書の種類や内容が決まったら、専門家が法的に有効な遺言書を作成するサポートを行います。
自筆証書遺言の作成サポート
法的に有効な遺言書を作成するため、遺言書の書き方や要件を指導します。
公正証書遺言の作成サポート
公証役場で公正証書遺言を作成する際に必要な書類の準備や、手続きのサポートを行います。
3.3 遺言執行者の指定
遺言書で「遺言執行者」を指定することができます。遺言執行者は、遺言者の死後、遺言の内容に基づいて遺産分割や相続手続きを実行する責任を負います。専門家が遺言執行者に選ばれることもあり、スムーズな相続手続きを進めることが可能です。
3.4 遺言書の保管
特に自筆証書遺言の場合、遺言書が紛失したり、改ざんされるリスクがあります。専門家による遺言書の保管サービスを利用することで、安全に遺言書を管理し、死後に適切なタイミングで開示されます。
4. 遺言書作成サポートを受けるメリット
遺言書の作成を専門家に依頼することで、多くのメリットがあります。
4.1 法的リスクの回避
専門家に依頼することで、遺言書が法的に無効となるリスクを回避できます。特に自筆証書遺言は、形式的な不備や法的要件を満たさない場合、無効とされることがあります。専門家のサポートにより、確実に有効な遺言書を作成することができます。
4.2 財産や相続人の状況に応じたアドバイス
遺言書の内容が相続人に不利にならないよう、財産や相続人の状況に応じた適切なアドバイスが受けられます。遺留分を侵害しない形での財産分配や、相続税対策も検討できます。
4.3 相続人間のトラブル防止
遺言書を作成しておくことで、相続人間での遺産分割に関するトラブルを防ぐことができます。特に公正証書遺言を作成することで、法的に強力な証拠となり、相続人間の争いを未然に防ぎます。
5. 遺言書作成の注意点
遺言書作成においては、いくつかの注意点があります。
5.1 遺留分への配慮
法定相続人には、法律で保証された遺留分があります。遺留分を無視して財産分配を行うと、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。遺留分を考慮した遺言書を作成することが重要です。
5.2 定期的な見直しが必要
遺言書は作成後に財産や家族構成が変わった場合、内容の見直しが必要です。特に、遺言書を作成してから時間が経過すると、相続人や財産の状況が変わっている可能性があるため、定期的に確認・修正を行うことが推奨されます。
5.3 検認手続きの必要性
自筆証書遺言や秘密証書遺言は、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所で検認手続きが必要です。これにより、遺言書の内容が確認され、改ざんの防止が図られますが、手続きに時間がかかる場合があります。公正証書遺言では検認手続きが不要です。
まとめ
遺言書の作成は、財産の分配を明確にし、相続人間のトラブルを防ぐための重要な手続きです。遺言書の形式や内容によって、法的に有効かどうかが変わるため、専門家のサポートを受けながら作成することが推奨されます。
特に、公正証書遺言は法的に強力な手段として広く利用されています。
当事務所では、遺言書作成のサポートを行っております。相続に関するお悩みや、遺言書作成に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。