過払い金返還請求の方法と進め方

過払い金返還請求とは、過去に支払った借金の利息が法定利率を超えていた場合、払い過ぎた利息(過払い金)を取り戻すための手続きです。

2008年以前には多くの金融機関や消費者金融が法定上限を超える利息(いわゆる「グレーゾーン金利」)を設定していたため、長期間返済を続けていた場合、過払い金が発生している可能性があります。

以下では、過払い金返還請求の方法と具体的な進め方について解説します。

1. 過払い金返還請求の判断基準

過払い金返還請求ができるかどうかは、主に次の基準で判断されます。

1.1 借入れ時期が2008年以前

2008年以前には、出資法と利息制限法の間で「グレーゾーン金利」が存在していました。出資法の上限金利は29.2%であった一方、利息制限法の上限金利は、借入金額によって15~20%でした。

2008年以降、法改正によって上限金利が統一されましたが、それ以前の契約では過払い金が発生しているケースが多くあります。

1.2 長期間にわたり高金利で返済を行っていた

利息の払い過ぎが長期間にわたっていた場合、過払い金額も多くなる傾向にあります。特に、10年以上の返済期間がある場合、過払い金が発生している可能性が高いです。

2. 過払い金返還請求のメリットとデメリット

メリット

払い過ぎたお金が戻る

過払い金返還請求が成功すれば、返済が終了した借金であっても、払い過ぎた利息を取り戻せます。

借金の減額や完済が可能

未返済の借金に過払い金が充当され、借金が減額、または完済されることもあります。

デメリット

信用情報への影響

借金が残っている状態で過払い金請求を行うと、債務整理と見なされて信用情報に登録される可能性があります。ただし、借金が完済済みの場合は、信用情報に影響しません。

時間と手間がかかる

金融機関との交渉や返還請求の手続きに時間がかかり、専門家に依頼する場合には費用が発生します。

3. 過払い金返還請求の進め方

借入れ状況の確認と引き直し計算

まず、自分がどの金融機関からどのくらいの利息で借りていたかを確認します。古い契約書や取引履歴がある場合は、それを参考に「引き直し計算」を行います。

取引履歴は金融機関から取り寄せることも可能です。引き直し計算は、当初の金利を法定利率(15~20%)に引き直して過払い金額を算出する方法で、計算が難しい場合は専門家に依頼することも可能です。

内容証明で過払い金返還請求書を送付

過払い金が発生している場合、金融機関に対して返還を求める「過払い金返還請求書」を内容証明郵便で送付します。この請求書には、過払い金の具体的な金額や返還方法、返還期限を明記します。内容証明郵便は、後の証拠としても残るため、相手方への請求手段として有効です。

金融機関と交渉

金融機関から過払い金の返還額についての連絡が来るため、提示額に同意するか交渉を行います。金融機関によっては、過払い金額の一部を返還する提案があるため、返還額の交渉を進め、和解契約を締結するかを決めます。

過払い金の返還受け取り

金融機関との交渉が成立すると、指定口座に過払い金が振り込まれます。交渉が不成立の場合や、提示された金額が適正でないと感じた場合は、裁判所を通じて返還請求訴訟を提起することも可能です。

4. 過払い金返還請求の注意点

4.1 時効に注意

過払い金の返還請求には時効があり、完済した日から10年が経過すると時効で消滅します。そのため、長期間借金を完済していない場合や、完済から10年近く経過している場合は、早めに請求手続きを行うことが重要です。

4.2 借金が残っている場合の信用情報への影響

借金が残っている状態で過払い金返還請求を行うと、債務整理とみなされるため信用情報に影響が出ます。しかし、完済済みの場合は信用情報には登録されません。今後の信用情報への影響が気になる場合は、専門家に相談しながら進めると安心です。

4.3 取引履歴の開示を拒否された場合

金融機関が取引履歴の開示を拒否することはほとんどありませんが、過去の契約が古すぎる場合や、データが消失している場合には開示が難しいこともあります。このような場合には、契約時の書類や過去の借入明細など、可能な限りの資料を準備して専門家に相談すると良いでしょう。

5. 過払い金返還請求を専門家に依頼するメリット

過払い金返還請求は、個人で進めることも可能ですが、専門家に依頼することでスムーズに手続きを進められるほか、金融機関との交渉が有利に進むことが期待できます。

専門家に依頼するメリット

計算の精度向上

引き直し計算や過払い金額の算出は複雑ですが、専門家に依頼することで正確な金額を算出できます。

交渉のスピードアップ

弁護士や司法書士が代理で交渉を行うため、金融機関との交渉がスムーズに進みます。

裁判も視野に入れた対応

交渉が不成立の場合、訴訟提起も可能です。専門家が代理で訴訟手続きを進めるため、安心して手続きに臨むことができます。

まとめ

過払い金返還請求は、長期にわたって返済を続けてきた方にとって、経済的な負担を軽減する有効な手段です。

特に2008年以前に借り入れをしていた方は過払い金が発生している可能性が高いため、早めに手続きを進めることが推奨されます。借金が完済していれば信用情報への影響もなく、手続きがスムーズに進むメリットがあります。

過払い金返還請求を検討している方や手続きに関するご質問がある方は、当事務所にご相談ください。専門家がサポートし、最適な解決策をご提案いたします。

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